“入間 人間” の検索結果 | 今日もだらだら、読書日記。

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多摩湖さんと黄鶏くん

 

 Q:年上のおねえさんは好きですか?  A:はい、俺は大好きです。
二ヶ月前から付き合いはじめた多摩湖さんは、年上だけど下級生という大人な女性だ。 そんな素敵なおねえさんと、エロいゲームを密室でプレイする、二人っきりのカードゲーム研究会の魅惑の日々を描いたのが本作である!(でも本当にそれだけなんだよなあ) おっと。いちおう断っておくけど、多摩湖さんと俺は、決してキャッキャウフフなバカップルじゃない。二人だけのゲームにいそしむ変態カップルだから。……いいのかそれでー。

個人的お気に入り度数

「初めてのキスの相手が目玉でしたって、私なんか誤解されそう」
「初めてにしては情熱的なキッスでございました……」
精神的ボロボロによって床にへばりついている俺を眺めて、多摩湖さんが破顔する。
「なんか私、試合に負けて勝負に勝った?」

  ?変態だーーー!!!/

留年を繰り返して現在19歳な「後輩」の多摩湖さんと彼女の幼なじみで「彼氏」の黄鶏くん。キスも手繋ぎもまだな初々しいカップルの二人が色々な恋愛の「いろは」を10段階くらいぶっとばしてひたすらカードゲームという名目で変態プレイに興じるお話。本当にそれだけっていうのが余りにも潔すぎる!!!

多摩湖さんが徹夜テンションで作り上げるオリジナルカードゲームに黄鶏くんの妄想能力が加わって毎回とても大変な事に。どのゲームも色々と酷かったですが、一番凄かったのがババ抜きのババで引き当てた身体の部位(ただし唇以外)にキスをするという「キスババ抜き」でした。黄鶏くんの眼球にキスする多摩湖さんが……エロい!!!それでも意地でも唇にキスしないところがもうわけわからない!!(でもそこがいい!!)

入間さんの文章は正直みーまーの頃からあまり得意ではないのだけど、ゲームの合間合間で繰り広げられる変態度の高いバカップル(ただし本人達はあくまで否定)会話の糖度も半端なく、始終ニヤニヤしながら楽しめました。本当にただバカップルが変態プレイをしてるだけだけど、そういうのが好きな人にはとてもオススメ。

ところで……「キスババ抜き」は誰かが是非とも二次創作同人誌でやるべきだとおもう。
密かに萌えてるカップリングで置き換えて妄想してニヤニヤしてたのは内緒だ!!


嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 6 嘘の価値は真実

[著]入間 人間 [絵]左

大江家での事件から2ヶ月が過ぎ、僕とまーちゃんは以前通りの自堕落な生活を満喫中。今日も体育の時間をサボった僕達が生徒たちの目につかない所でイチャイチャしていたところ、黒くて長い棒(性的な意味ではない)を持った男が乱入。かくして、体育館には血の花が咲く羽目に。まーちゃんとののどかなランチタイムを満喫するため、仕方なく事件解決のため動き出したけど…
   個人的お気に入り度数
一度手に取るのをやめた「みーまー」シリーズを再び手に取るきっかけは、各所の6巻感想の不可解っぷりが気になって気になって、そんな気持ちが最後にフラン☆Skinさんの感想を見て頂点に達した…という過程があったわけですが、これは確かに、なんてコメントつけたらいいか分からない。

学校の体育館を占拠した通り魔に対抗するため、いささか不純な動機でみーくん(+むしろ足を引っ張るまーちゃん)が立ちあがる!というお話。まーちゃんさえ無事ならどうでもいい、といいつつさりげなく伏見や長瀬を気に掛けるみーくん可愛いなあ。あと今回でついにみーくんのフルネームが明らかになりましたね。しかし、嘘つきみーくんで「枝瀬(エセ)」って物凄い名字だな……

これまでみーくんとかかわったキャラクターの一人称によるモノローグ的なモノが挿入されたり、なんか色々と思わせぶりの多い今回。いろいろ張りっぱなしの伏線とかあるんでこれで完結編ではないと思いたいですが、ある意味ここで本当に終わったりしたらこれ以上になく「みーまー」らしいよなあ、と思う気持ちもあり。

それで、結局これはどういう結末なんだ?エピローグで真犯人が投げかける問いの答えは、みーくんともまーちゃんとも、はたまた挿入されたモノローグが不審な途切れ方をしたあの人とも受け取れるわけだけど。個人的には最後説が有力かなあ(続きを出す問題的な意味で)と思うのですが、表紙のまーちゃんがとても意味深だったりして、なんかいまいちどれと言い切れない物が……うーむ。

まーちゃんにも些細ながら意味深な変化が見られるし、このまますべてうやむやのまま終わるというのも(いやまあそれはそれでアリですが)落ち着かないので、ぜひとも続きを読みたいです。しかし、少しずつ風呂敷を畳んでる感じを受けるので出たとしても次で完結とかそういう感じになりそうかな。


嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 5 欲望の支柱は絆

[著]入間 人間 [絵]左

破綻したマユを直す為やってきた元我が家は密室仕様に改造され、殺人事件が起きていた。そんなことはさておいてまーちゃんを「直す」ための準備も整ってそろそろ事件でも解決させておこうかなんて思っていたら、犯人最有力候補の僕は後頭部を強打されて嫌な思い出が多数眠る元我が家の地下室に閉じ込められてしまう。密室殺人事件らしくやっぱり行き着く先は華の全滅へ一直線…?
   個人的お気に入り度数
4巻から続く、みーくんの「元我が家」を舞台にした密室連続殺人事件・解決編。

今までの中でバツグンに読みやすかったという事もあるけど、それ以上にこのシリーズの中では一番面白かった…というか興味深いというか…な話でした。大概の密室殺人事件は推し量ったかのように事件を解決した直後に救いの手が差し伸べられるものなんだけど、嘘と悪趣味で構成されているこの物語はそんなテンプレ通りの展開は全く起こらず。その代わりといっては何ですが……事件の真相なんか笑顔でぶっとばす、人によっては死ぬほど後味悪いクライマックスが待っています。

なんという異次元空間。黒幕の思惑といい、実行犯である「あの人」の行動原理といい、いい具合にイカレちまってるなぁ。後半の殺人犯との鬼ごっこはまさにリアルクロックタワーかバイオハザードかはたまた(黒幕の)理由のくだらなさ的にはリアル鬼ごっこ。狂気を売りにしたラノベにしては狂気分が足りないなあと思っていた分を見事取り返すかの如く、怒涛の勢いで狂気分を充填させてくれました。言動と比べて茜さんが普通の人間精神持ってたのは意外だったけど、もうほんと彼女とゆずゆずくらいじゃないですか、まともな精神持ち合わせてるの。あの状況でなんだかんだと平静を保ち続ける湯女&みーくんも大概にアレです。

というか良くも悪くも胸糞悪い真相とその後に襲うクライマックスの恐怖が強烈過ぎて、逆に感想が出てきません。あれはもう「体験してみろ」としか言えない。あ、地味にみーくんの「日記」が良いエッセンスを醸しておりました。だんだん文章が破綻してくるのが実に良いですね。ページが一部破けて読めなかったりとかそういう特殊効果が入ってるとモアベターだったと思うですよ(それはそのまんま「おしまいの日」ですねわかります)

一方で、離れていて出番の無いまーちゃんの事についてもなにやら意味深の会話があったりして、今後の展開も期待。というか、聞いた話によるとあと1冊ではないかと思われるのでどうやって決着をつけてくれるのかに期待と言うべき?そして、なんだかんだとエピローグのみーくんのはしゃぎっぷりにニヤニヤしてしまった私。

それにしても、みーくんの浴衣姿が結局挿絵にならなかったのが実に残念…


嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 4 絆の支柱は欲望

[著]入間 人間 [絵]左

些細な出来事をきっかけに記憶と現実の整合性が取れなくなったマユが破綻した。彼女を「直す」ため、僕は彼女を壊した誘拐犯が住んでいた家…—要するに元我が家へと向かう。まだ、僕はまーちゃんを騙し足りないから。その「元我が家」は大江という人の所有物になっており大改装を受けていて…なぜか伏見まで付いてきてて…ついでに殺人事件まで起きて…!?
   個人的お気に入り度数
3巻で一旦切ったはずなんですが、あと3冊だっていうし、最終巻の内容気になるし……で再び手に取ってしまった「みーまー」の第4巻。今回はみーくんの「元・我が家」で起きる密室殺人事件のお話・前編です。

相変わらず「嘘だけど」だらけで真実の把握が難しく、回りくどい語り口は健在。今回は「すべての事象を逆に覚えている」というゲストキャラクターの登場でますます読者を混乱の極みに突き落としてくださいます。あ?やっぱりこの回りくどい文体だけは好きになれないなぁ。これが売りだといわれると文句のしようもないのですが。今回は短いのでなんとか耐えられたという感じが……

まーちゃんの電波とヤンデレをミックスしたような素っ頓狂な行動はあらすじで語られている通りの理由でほとんど無く、その代りに代理ヒロイン(?)の座を勝ち取った伏見柚々は行動こそ電波入ってるもののとても普通の人間らしい行動を見せてくれて、ある種このシリーズ的には新鮮。しかもマユがいないのを良いことにしっかりいい雰囲気になっちゃいます。マジでこれ、マユに知られたら血の雨が降りそうです……

一方、そんなヒロインの分を取り返すかのように大江家の皆様が良い具合に壊れていらっしゃる。大江家の長男・貴弘さんが両親に紹介される場面ではうっかり「ああ、いつもの"みーまー"だ!」と安心してしまったり。唯一まともだと思っていた桃花さんからもサラっと物凄い発言が飛び出したり。父親の耕三さんは……あの滅茶苦茶なキャラは元からなのか、それとも殺人事件でテンパってるだけなのかが気になるところ。…とはいえ、母親に主犯がありそうとはいえ、あの子供たちの親という時点で、マトモとも言い難い気が。みーくんとの成り立ってない会話には緑茶噴いた。

次回はこの事件の解決編のようですが、どうなることやら。誰もが犯人になりえそうなのが怖い。個人的には茜さんの煙に巻かれまくりのさかさま発言がキーになってそうな気がするけど…。


嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 3 死の礎は生

[著]入間 人間 [絵]左

なんとか病院から退院して、まーちゃんとの二人暮しを再開したみーくん。まーちゃんからのバレンタインチョコに絶句したり、ダイエットと称して自分の肉を包丁で削ごうとしたまーちゃんを必死に宥めたりとそれなりに平和(?)な日々を送っていたのだが、夜の散歩の最中に死んだ筈の妹(らしきもの)と遭遇する。そしてその直後、連続動物殺害事件は殺人事件へと発展して…
   個人的お気に入り度数
うむむむむ、とりあえず最後まで行こうと頑張って読んでみたけどちょっとこれはキツかった…良くない意味で。

1、2巻の頃はまだ「味」として読むことが出来た、回りくどいみーくんの一人称が3巻では更に気合入ってパワーアップ。あまりにも頻繁に「嘘だけど」「嘘だけど」って来るのでもう何が現実で何が嘘なのか区別がつかなくなってきました。もうこれがこのシリーズ最大の味であるのは間違いないし、三人称や「嘘だけど」が入らないみーまーなんか具のないお握りみたいなもんですが、テンポ悪いし読みづらいことこの上ない。

完璧に壊れてしまっているまーちゃんと違って、正常と異常のボーダーラインの上で意図的に“異常”の方に身を置きながらもゆらゆらしているみーくんの心情は実に様々な方向が不安定で、そんな彼の一人称に感情移入して読もうとすると全く理解できないまま物語が進んでしまうといいますか。結局何がなんだかわからないまま物語そのものに理解されるのを拒まれてしまったというか、煙に巻かれてしまったという印象。それが味といえば味なんでしょうけど。

まーちゃんの嫉妬をギリギリのラインでかわしながら他の女の子とコミュニケーション取ったり、まーちゃんの常識がスコーンと抜け落ちた珍妙な行動を見ているのは中々楽しいんですが、そのエッセンスだけでは楽しめないものがありました。あ、あと小指で繋がれた赤い糸のシーンが地味にグロくてきつかった……なんか無駄に想像できてしまうのが痛かった…。

うーん、嫌いな作風ではないんだけど、この読みづらさを我慢しても続きを読みたいかといわれるとどうにも。4巻はおそらく買わないかなあ。


嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 2 善意の指針は悪意

[著]入間 人間 [絵]左

殺人未遂の被害者として入院した僕こと<みーくん>を追いかけて、自分の頭を花瓶で殴ると言う自傷行為に及んだまーちゃんは僕と同じ病院に入院してきた。そして数日後、再び彼女の頭は花瓶と巡り合わされた。今度は誰かの手によって。この状況からまーちゃんを助けるため、みーくんは事件解決に向け動き出すが…
   個人的お気に入り度数

色々な意味で突き抜けていた前巻と比べると大分小さくまとまってしまった印象を受けました。個人的には、「化物語」ばりの軽妙な会話がお気に入りだったので、その会話にキレがなくなってしまったように感じたのは残念で仕方が無いです。あとまーちゃんのヤンデレ具合も1巻のほうが突き抜けていたかも。

ただし、今回は「みーくん」の正体が1巻で明かされている分、それまではなんとも思わなかった「まーちゃんとみーくんのやりとり」がなんだか少しスリリングなモノに感じました。本来持っていないはずの記憶をさも自分のもののように語るみーくんと、時々ただの「頭のオカシイ女の子」ではないんじゃないかと魅せ付けるまーちゃんのやりとりが凄く良かったです。

ヤンデレ・壊れ系としては1巻には及ばないし、ミスリードも今回はすぐにわかってしまう程度のモノだったのであまり面白くなかったんだけど、1巻とは別の方向で面白くなってきた感じ。ていうかぶっちゃけまーちゃん、みーくんの「正体」についてちょっと勘づいてるっぽいような気がしなくもないのですが…

でもやっぱり、元々1巻構成だった所を無理矢理続き書いた感じが否めなかったり。1巻以上のインパクトは早々生み出せるもんじゃないよなあ。あの事件が今回の事件に関してこんな風に繋がっていくとは思いもしなかったけど。あと捜査のためとはいえ、老人虐待は駄目だよみーくん。


嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 幸せの背景は不幸

[著]入間 人間 [絵]左

まーちゃんと僕ことみーくんは、誘拐事件の被害者だ。酷い虐待を受けたまーちゃんの心はすっかり壊れてしまった。そして僕は「嘘つき」になった。そして8年後、同じ街で連続殺人事件と誘拐事件が起こる。僕は8年ぶりにまーちゃんと接触するのだが…
 

噂通りとってもヤンデレな内容ですね。
ストーリー全体が実に病んでるのですが、いっそ病みすぎてノリが軽い。まーちゃんも凄くヤンデレなんだけど、あまりにもテンプレ通りのヤンデレというか、ヤンデレの行動テンプレに基づいて行動しているだけのヤンデレという印象を受けてしまって、ヤンデレキャラが高確率で持っている「その行動にゾクっとさせられる」ような薄気味悪さが無い。ヤンデレ萌えの最大の萌え所って、ある意味二重人格萌えみたいなもんで、普通の女の子がとある刺激によって突然ヤンデレ的行動をとり始める恐怖見たいなのだと思うんだけど、まーちゃんには「普通の女の子」としての書き込みがあまりにも足りないというか…なんというか分類すると、ライト・ヤンデレ・ノベル?(色々な意味で)

誘拐事件をきっかけに壊れてしまったため、人間としての“常識”から外れて行動してしまっているまーちゃんと、敢えてそういう“常識”を見ないで居るみーくんの二人が織り成すお話なので、やっている事はかなりアレなのに全く罪悪感が匂ってこないというか…二人が壊れるきっかけを作った「誘拐事件」にすらもあまり重さを感じない不思議。ある意味新しい感覚。

「まーちゃん」
マユの額の髪を指で梳きながら、諦め混じりに問い掛けた。
「君、あの子達を拉致っちゃった?」
「うん!」
当たり前のように、元気一杯の返事を頂戴した。

色々な意味で、↑の文章がこの作品の一風変わった「軽さ」を全力で体現してる気がします。

まーちゃんとみーくんの異常にテンションの高いノリの会話は、良くも悪くも劣化・西尾維新という印象が強かったかも。玖渚友といーちゃんが主人公の「化物語」という印象受けました。会話にやたらと他作品ネタが絡んでくるところが維新っぽく感じた最大の原因なんだろうなあ…あとみーくんがものすごくいーちゃんとキャラ被る。ただ、凄くこういうノリの会話は好きなので個人的には全く問題ないですが。

なんかもう、「面白い」といえばいいのか「面白くない」といえばいいのかすらわかんない作品でした。判別不能です。○点評価とかしてなくてよかったと実に思います。5点とも言えるし2点ともいえる気がする。とりあえずちょっと分かりづらい所が多かったんで次を出して欲しいような…でもこの終わりで続編を望むのは難しいのかな。

あ、個人的にはカウンセラーの恋日先生と警察の上社さんがめちゃくちゃ好みです。


電子書籍で読める、少し昔の単巻完結タイトル10選

※2022/04/18 「Kindleで買える、おすすめ&気になる単巻完結タイトル10選」から改題

個人的に大好きなのでおすすめしたい単巻完結ラノベ(一部ラノベじゃない)をまとめました。Kindleで買えるラノベが少なかった時代に「Kindleで買える単巻タイトルを〜」というお題で書いた記事だったのですが、現在は殆どのタイトルが電子書籍化していることを踏まえて改題&未読やこの記事の後に続巻が出てシリーズ化したタイトルを省いて、この記事を最初に書いた2014年よりも前に読んでたおすすめの単巻タイトルを(「ボンクラーズ、ドントクライ」以下3タイトルを)追加しています。

今、結構昔のタイトルもちゃんと電子書籍になってて良い時代になりましたね……って綺麗にまとめようとしたんですがおすすめしたいタイトル何割か普通に電子書籍になってなかったのでやっぱり良い時代になるまでにはもう少しかかりそうです!「氷雪王の結婚」と「迷走×プラネット」の電子書籍化を頼むよマジで!!!

入間 人間「多摩湖さんと黄鶏くん」
キスババ抜き、全二次創作を嗜むオタクに布教したい
キスも手繋ぎもまだな初々しいカップルの二人が色々な恋愛の「いろは」を10段階くらいぶっとばしてひたすらカードゲーム(という名目の変態プレイ)に興じるお話。キスまで程度の描写でここまで表現できるのかというか、とにかくエロい。キスババ抜きはもっと二次創作界に広まるべき。
和智 正喜「消えちゃえばいいのに」
どこにでもいる少年少女の、愛と殺戮の物語
自分の為に、自分と些細な形でも関わりをもった人間たち100人が殺される。愛という感情を知らない主人公と、そんな主人公に引き寄せられるように狂気に満ちた愛をふりかざしていく「犯人」の行動に、後味の悪さばかりが残るラストが印象的でした。
紅玉 いづき「ミミズクと夜の王」
児童書のような優しい世界観を持つファンタジー
奴隷として生きてきた少女・ミミズクと金色の瞳を持つ人にあらざる者・フクロウのおりなす物語。根っからの悪人がほとんどいない優しい世界観と、そこで賢明に生きる人々のすれ違いと再生の物語が心にしみます。紅玉先生が電撃文庫で出した作品はどれも単巻でスッキリまとまっているのでおすすめ。
桜庭 一樹「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet」
「好きって絶望だよね」は名言。
家庭環境に問題を持つ2人の少女が最初は反目し合いながら少しずつ仲良くなる。砂糖菓子のように甘い嘘の弾丸で、嘘の世界に逃げ込んだ主人公が現実に帰ってきたら、案外現実だってそこまで辛くはなかったんだよという、苦くて甘くてお話。
神楽坂淳「征服娘。」
中世に生きる貴族の令嬢が歩む頂点への道のり
高い商才を持ちながら貴族の娘として生まれたが故にその才を生かせない令嬢が、その商才で国家の頂点を目指すお話。地道な所からはじまる征服への道のりと、女の友情やライバルたちとの駆け引きが楽しかったです。電子書籍版は挿絵なしの廉価版のみです。
夕鷺 かのう「花狩のロゼ 歌姫は薔薇を殺す」
戦う女装主人公×男装ヒロイン
女装してても心は男前な主人公とその主人公と様々な因縁を持つヒロインの関係性も大変美味しいのですが、主人公の従者・ミュゲとの背中合わせの友情ぶりが大変美味しかった。2巻が出なかったのが残念すぎるのですが1巻だけでも綺麗にまとまっていて面白いので……。
新井素子「グリーン・レクイエム」
植物の遺伝子を持つ少女と植物学者の青年の少し不思議な恋物語
緑の長い髪を持ち、光合成を行うことで生きている少女・明日香。幼い頃彼女と出会い、植物学者への道を志した信彦は再び彼女と出会い、惹かれ合うが皮肉にも明日香は植物学者達の研究材料としてその身を狙われる事になってしまう。続編もありますが1冊で綺麗にまとまっているので。でも続編も良いので読んで欲しい(この記事の主旨が台無し)
大樹 連司「ボンクラーズ、ドントクライ」
恋愛と友情の間で揺れる、少年と少女の青春物語
仲良し男子ふたりの『ごっこ遊び』でしかなかった映画製作が、転校生の少女の存在を切っ掛けにして本格的に動き出す。転校生の少女に恋をしながら、彼女の加入によって親友との蜜月が終わってしまうことを怖れる主人公の感情の動きが物凄く良かった。青春のツマとして語られる甘酸っぱい三角関係が最高に良い。
古戸 マチコ「ワルプルギスの夜、黒猫とダンスを。」
魔法とともに描かれる、やがて大人になる少女の「第一歩」
呪いによって身体を入れ替えられてしまった主人公が、魔女ベファーナとして過ごしながら呪いを解く方法を模索する。魔女の森の描写にとにかくときめいてしまうし、そこで主人公が経験する淡い恋と成長の物語と、何より全ての謎が紐解かれていくラストがめちゃくちゃ良かった。
うえお 久光「紫色のクオリア」
愛する少女を救うため、少女は縦横無尽に時をかける
ひょんなことから並行世界の自分と会話する能力を手に入れた波濤マナブは、親友・鞠井ゆかりの不可解な死を阻止するため、並行世界の自分達と共に時空を縦横無尽に駆ける。ループものというか世界線移動要素と異能要素ありのSFというかあとちょっと百合。単巻ラノベというとかなりの確率で名前が上がる名作ですが本当に名作なので読んでください。



読み放題が来た今こそ読みたい「ちょっと古め」のラノベ20選。

先週末からBOOK☆WALKERで角川文庫・ライトノベル 読み放題というサービスがはじまりました。
しかも、2020年の1/31までは無料で読み放題になるそうです。

というわけで、対象作品の中で私が完結(最新巻)まで読んでいるタイトルの中からちょっと古め(2000年代中心)完結済(多分)作品のなかからおすすめラノベを20作品リストアップしました。なんで「ちょっと古め」の「完結作品」なのかと申しますとそういうやつはリアルタイムで巻数が増えないため後回しにされがちだと思うからです。私がそうです。新作は多分他にまとめる人がいると思うのでそっちで探してください(「錆喰いビスコ」と「ファイフステル・サーガ」が個人的におすすめです)

何か気に入ったものがあれば手を出してみていただけると比較的古産なラノベ読みとしては冥利に尽きます。

※なお、この記事は書影を引っ張るためにKindleへのリンクを併用しています。Kindleの方の読み放題タイトルではありませんのでご注意ください。

1巻完結 / 3〜5巻 / 6巻以上

1巻完結

入間人間「多摩湖さんと黄鶏くん」→感想
バカップルがイチャイチャとゲームするだけの小説。
ゲームの内容がいちいちフェチくて二次創作心をくすぐる。みんな頼むから読んで推しカプで「キスババ抜き」やってくれ!!!
うえお久光「紫色のクオリア」→感想
愛する少女と共に在る未来を目指し、少女は時空を駆ける。
女の子三人がイチャイチャするほのあたたかい序章と、ハードな時空改変SFである本編に圧倒される。

3〜5巻

岩井恭平「消閑の挑戦者(1巻まで)」→感想
『天才』達が挑む、究極の超能力×頭脳ゲーム!!
既刊3巻。主人公・小槙と彼女のパートナーである祥が常にすれ違いながら様々な天才達に挑んでいく。「超飛躍」という頭脳を活性化させる異能を用いて行われるハイレベルな頭脳バトルがたまらない。
土橋真二郎「扉の外(全3巻)」
閉鎖空間で熟成されていく「人間の悪意」にゾクゾクが止まらない。
とにかく薄気味悪い人間関係と、どこまでも後味の悪い展開で初読時は本当に「これは無理!!」と思ったのですが未だに不思議と惹きつけられてやまない作品。色んな意味で煮凝りのような濃さを感じるデビュー作。
杉井光「火目の巫女(全3巻)」→感想
異形と戦う少女達の、儚くも悲しい宿命の物語。
過酷な宿命の中で様々な少女たちとの出会いと別れを繰り返しながらひとり残されていく主人公・伊月の姿が、悲しくも美しい。長い時を生きる帝・豊月との関係も良かった。
平坂読「ラノベ部(全3巻)」→感想
「ラノベ」にまつわる高校生たちの楽しい日常。
軽妙な会話劇が楽しい文系部活ラノベ。全3巻なので手軽に読める。個人的にいちばん好きなのはリレー小説ですよろしくおねがいします。
水瀬葉月「ぼくと魔女式アポカリプス(全4巻)」→感想
喪われた魔術種達の生存競争に巻き込まれたヒトたちの物語。
絶望的な戦いの中で、己を削りながらも手を取り合って生きようとする少年少女の姿が印象的。自傷、トランスセクシャル、同性愛と性癖てんこ盛りな展開も好きです。FGOのアガルタやセイレムが好きなら是非…。
秋山瑞人「イリヤの空、UFOの夏(全4巻)」→感想
不思議な少女と過ごす忘れられない夏の想い出。
過酷な宿命を背負った少女・伊里野と普通の少年・浅羽。二人を待つ過酷な運命と、あっさりと終わっていく二人の「UFOの夏」にしんみり。読んだら6月24日に「おっくれってるー!!」って言いたくなる。
柳実冬貴「Re:バカは世界を救えるか?(全5巻)」→感想
微妙な異能を手に入れた中二病の少年の、世界を救うための戦い。
非日常を求めてやまない中二病の少年が本物の異能と非日常の世界に巻き込まれていく。終盤に行くに連れインフレしていく世界観と、そんな戦いの中で本物のヒーローになっていく主人公の姿がアツかった。ヒロインたちとのやりとりも可愛いですが男の友情もあります!!!
三上延「シャドウテイカー(全5巻)」
未知の存在からの侵蝕に抗う少年少女を描くホラー系異能バトル。
背筋を這うようなホラー展開と、徐々に記憶を失っていく幼馴染の少女を救うため奔走する主人公の姿が印象的。というか三上先生の異能バトルはだいたい幼馴染大勝利ラノベなので幼馴染ストはこの機会に読んでほしい。
林トモアキ「戦闘城塞マスラヲ(全5巻)」→感想
これは長い物語(サーガ)の “はじまり”。
引きこもりの青年が、目付きの悪さとハッタリだけを武器にしてツワモノ揃いのバトルロイヤルを勝ち抜いていく。少しずつ人間として成長していくヒデオの姿に胸が熱くなる。林トモアキ作品は全著作に濃厚なリンクがあるので薦めるの難しいんですけど、個人的に入門編として推したいのはこれか「お・り・が・み」かなと思います。
神坂一「ロストユニバース(全5巻)」→感想
「スレイヤーズ」の著者が贈る過去の遺産技術を巡るスペースオペラ。
もうまず主人公がキメキメでライトセ●バーとマント構えて出てくる所から大好きすぎるんですけど、テンポの良い掛け合いと意外に重たい展開がいかにも神坂作品という感じで好き。なにかとスレイヤーズとのリンクを思わせる(が特に直接的なリンクはない)用語の数々にもニヤリとしちゃう。

6巻以上

風見周「殺×愛-きるらぶ-(全8巻)」
最後の人類になる少年と彼を殺しに来た少女の、世界を賭けた恋。
世界を救うため×騙して利用するために偽りの「恋人ごっこ」をしていたはずが、お互い本気で好きになって…という王道展開と、ご都合主義とも思えるハッピーエンド展開がたまらなく好き。主人公の行動にモヤッとする部分もあったけれど、自分勝手と自覚しながら足掻き続ける終盤がやっぱり好みでした。
藤原祐「レジンキャストミルク(全8+2巻)」→感想
心に“欠落”を抱えた少年と心を持たされた“人形”の少女の物語。
明るく楽しく描かれる「日常」の学園生活と、欠落の代わりに異能を得た少年少女が傷つけ合う「非日常」の戦闘パートの落差がたまらない。もうほんとうにこの漢字やら英語のルビを振りまくった文章とバトル展開が好きすぎて。殊子先輩が好きです…………。
中村恵里加「ダブルブリッド(全11巻)」→感想
『二重雑種』の女と無骨な青年が織りなす「ちとにくとほねのものがたり」。
お酒が大好きでちょっと不思議なアヤカシのおねえさんと石頭系武骨な警察男子がアヤカシ対策専門部署という閑職でほのぼのする話かと思ったら互いを傷つけあわずにはいられない人間とアヤカシが織りなすちとにくとほねの物語です(ツイッターの自分のつぶやきが上手いこと言ってたのでそのまま転載)
葵せきな「生徒会の一存(2巻まで)」
ハーレム願望の主人公+ヒロインたちの軽妙なやりとりが秀逸。
とにかく生徒会室で軽い会話をしてるだけのお話なんだけど、気軽に読めてぷっと笑える短編ラノベならコレという気持ち。「全員を幸せにするために」ハーレムを目指す杉崎の姿も個人的には好感度高く、そんな彼が大きな壁にぶつかる「新生徒会の一存」もおすすめ。
あかほりさとる「セイバーマリオネットJ(全12巻)」→感想
心を持ったマリオネットと少年の、人類の未来を賭けた恋。
ハーレムラブコメではあるんだけど、その一方で“人間の女性が居ない”歪んだ世界の姿と、女性を復活させるために“人間の心を持った機械”を愛すことが出来るかを試され続ける主人公・小樽の姿が衝撃的。どこか物悲しいエピローグが忘れられなくて、定期的に読み返してしまうシリーズの一つ。
田尾典丈「ギャルゲヱの世界よ、ようこそ!(全8巻+外伝4巻)」→感想
全員が幸せになれるルートを、地道に模索していく姿が印象的。
ヒロイン全員と幸せになるためハーレムルートを目指す!という展開と、それを実現するために問題点を洗い出して割と地道な努力を重ねていく展開が熱かった。現実産ヒロインの高橋愛子さん推しなんですけどそれはそれとしてゲームの真主人公との男の友情も大変美味しかった…。
椎野美由貴「バイトでウィザード(全14巻)」
現代魔法使い「ブラック家業怖い」ラノベ。
魔術師の一族に生まれて大きな力を持ってしまった主人公が、一族の長にいいように使われて使い潰されていくのがマジブラック企業怖いなんですけど!敵の尖兵となってしまった恋人を救うため、自らの生命を掛けて戦いに挑む主人公の姿も印象的でしたがやっぱり「ブラック家業ラノベ」のインパクトが強い。
田口仙年堂「吉永さん家のガーゴイル(2巻まで)」
最終巻でのタイトル伏線回収がアツすぎる。
ふくびきの景品として吉永さんの家にやってきたしゃべる石像・ガーゴイル。最初は杓子定規に家族に近寄るものを攻撃していた彼が、少しずつ人間の機微を学び、様々な体験を経て心を得て成長していく。最後に吉永家の一員となった彼の少しだけ変化した『名乗り』にホロリとしてしまう。読み放題は2巻までなんですけどなんとかして最後まで読んでください全15巻+外伝3巻です。